リンゴ日和

シロクマが好きな学生が書いています。

ぼくとまちとの関係性

まちづくりの研究をしていると「そんなに街が好きなの?」とか「よっぽど街が好きなんだね」と言われることが多くなります。

たしかに、まちは好きなんですが、昔から「まちが好き!」という感じではなく、もっと薄ぼんやりとしていました。

 

今回はメモも兼ねて、ぼくとまちの関係についてお話したいと思います。

 

話は変わりますが、僕は小学中学の辺りで小説というものにハマりました。ハリーポッターもダレンシャンも読まないような子どもでしたが、何の気なしに読んだ「オーロラの下で」という犬ぞり隊の話で号泣したのがきっかけだったと思います。

その後、本好きの友達が出来、有川浩さんや赤川次郎さん、辻村深月さんなど色々なジャンルの物語に手を出しました。

新潟出身ということで綾崎隼さんの小説ばかり読んでいた時期もありました。

 

中学三年生くらいの頃に、パソコンを手に入れました。中古のWindows XP。スペックは御察しの通りでしたが、そこで「ノベルゲーム」というものに出会いました。

単純だった僕は、「フリーノベル?無料でお話が読めるの?」くらいに思っていたのですが、手を出すともっと奥深いものでした。

小説でも備わっている文字と挿絵に加えて、その時々のBGM、SEなどがその場の世界観をより深く作り上げていて、初めて読んだ「終わりに見えた白い明日」を読んだときは号泣していました(これだけ見るとよく泣く人みたいですね笑)。

 

そこからノベルゲームにどっぷりハマった僕は、来る日も来る日もノベルゲームをプレイし続け、100本ほどプレイ、自分で作ったり、レビューを始めた辺りで「演劇少女は古都鎌倉を雪で潰す」という作品に出会います。

当時は千円程度とは言え、有料の作品はあまり手を出しておらず、その人の作品が好きでイラストも綺麗だったため何となく惹かれて買った作品でした。

プレイして、熱量に衝撃を受けました。

何となしに横目で見たりしていた演劇ってこんなに熱くてこんなに素敵なものなのか、と。

丁度、有川浩さんの「シアター!」を読んでいたということもあり、これは素敵なものに違いない!と所属していた剣道部を辞め、演劇部に入部しました。高校一年生の頃です。

 

本やノベルゲームに触れていたこともあって、世界観を想像することは出来ましたが、いかんせん演技は素人。初めて立った舞台では、「声はいいけど」というなんとも中途半端な評価を頂きました。

その辺りで高校を転校することになるんですが、転校先でも演劇部に所属しました。

すっかり落ち込んでいた自分は「自分は役者に向いていない」と思い、しかし素敵な世界を作ることは諦めきれず、裏方として所属をしていました。

とはいえ、キラキラ輝く役者をスパッと諦めることもできず、最後のチャンスと割り切って部内のオーディションに応募しました。

 

ここで一悶着あるんですが、今回は割愛。

気になる人がいれば今度話します。

結果は主役をいただくこととなりました。

 

そんなこんなで、演劇に夢中になり高校時代は光のように過ぎていきます。

大学受験は失敗しましたが、今では悪くない大学に行けたのかと思っています。

行った大学の大まかな分野はまちづくり。

手先が不器用で、理系があまり得意ではなかった僕は、「うわー、製図とか模型とかできないよ」と思ったことを覚えています。事前にカリキュラムを調べておきなさいという話ですね(笑)。

確かに製図や模型の授業も必修で存在し、僕の悪い成績を作り出す一因ともなりました(笑)。

そのような感じで、最初は割と楽しめずに「なんでこんな大学に入ったんだ」と悩む前期でした。

ある時、何かの授業で「まち」と「まちの持つ歴史」について触れる機会がありました。文系でありながら(なんなら現在社会学に違い分野とも言える立場で有りながら)歴史がとても苦手でした。

「この授業単位取れるかなぁ」となんとなく考えていましたが、たしかその授業の中で「上演論的パースペクティブという話がされました。

詳しくは割愛しますが、「都市を読み物のように扱うとき、私は都市という空間の内側から読むことになる。つまり私は登場人物であり読み手になるのだ。このことを上演に例えると都市の中に存在する建物やマスメディア、机や椅子なども舞台の上にある装置であり、それが重層的に都市を舞台であり客席として構成している」といった話がされました(詳しく知りたい方は「都市のドラマトゥルギー」という本をご参照下さい)。

何が言いたいかと言いますと、「ああ、そうか。まちも物語なのか」と理解したわけです。

文学や物語の一部は人の営みをベースに作られるので、ニワトリと卵的な話もあるかもしれませんが、それはさておき、少なくとも僕はその捉え方でまちを見る目が変わりました。

普段何気なく歩く道や公園にもドラマがあり、無機質に建っているマンションにも登場人物達が生きている。そんな見方をしたら、突然まちが魅力的で面白いもののように思えてきました。

今でも散歩するときはそこかしこに散見する要素からドラマを想像してしまいます。所謂変な人、変人ですね(笑)。

 

はてさて、長く語ってきましたが、そんなこんなで僕はまちを好きになったわけです。

まちづくり系というと工学をイメージされる皆さん、まちをつくるということは人の営み=物語をつくることにも繋がると知っていただければ幸いです。

 

これ以上語ると今でも長いのにさらに長くなるので今回はこのくらいにして。

また「研究」やら「まちづくり」ときには僕の趣味とかについても書いていけたらと思っているので、興味のある方はまた読んでくだされば幸いです。